2008年1月29日火曜日

「Blind Faith/Gothenburg 1969」



 「ブラインド・フェイス」のライブ・レコーディング。彼らのオリジナルアルバムについては今月8日に紹介しましたが、これはグループ結成直後のライブと思われます。
1969年といえば、エリック・クラプトンジンジャー・ベイカーにとっては、クリーム解散後間もない頃です。

 場所は、スウェーデンのイェテボリ(英語ではゴーセンバーグ)。

 音質はノイズがはいるほどではないが、ダイナミックレンジが狭く、決していい音とは言えません。正規のレコーディングではないかもしれませんが、しかし、音源としては大変貴重なものです。

 “Sleeping in the Ground”という12小節の典型的なブルースで始まり、クラプトンアドリブ が堪能できます。また、最後の“Do What You Like”という曲では、ウィンウッドクラプトンのソロに続いて、ジンジャー・ベイカードラムソロ を堪能することができます。

 昨年は「クリーム」の再結成コンサートがあり、先日には「レッド・ツェッペリン」の再結成コンサートが行われました。
「ブラインド・フェイス」は多分ないだろうな。(~~;)

2008年1月26日土曜日

「ディープ・フォレスト/ワールド・ミックス」


 ディープ・フォレストは、1992年にヨーロッパで話題を集め、日本ではその数年後に広く知られるようになりました。
ハウス・ミュージックにアフリカン・テイストが合体したサウンドは、かつての「オシビサ」などとは違い、ロックの強烈なパワーとは対照的なソフトで知的なサウンドを特徴としています。

 サウンドの源泉は、ピグミー族の素朴な歌声に求め、カメルーンセネガルに伝わる伝統的なコーラス、エレクトロニクス・サウンドをコラージュして生まれた独自の音楽です。

 これもまた、車の中や仕事中にBGMとして聞くには最高の音楽。
この作品は1994年リリースのファースト・アルバム
その後、5~6枚のアルバムが出ていますが、どれも大地にしっかりと根ざした力強いサウンドで、聞いて心地よい音楽です。

2008年1月22日火曜日

「Cecil Taylor & Italian Instabile Orchestra/The Owner of the River Bank」




 半世紀にわたってフリー・ジャズをリードしてきたセシル・テイラーは、アメリカでは人気が低く、レコードやCDも決して多くありません。
とりわけ、ピアニストであることから、私は彼の真価はコンボ(少人数編成バンド)でこそ発揮されると考えます。ソロ演奏も素晴らしい。
しかし、過去には「ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ」をはじめ、いくつかのジャズ・オーケストラとの共演を果たし、鬼気迫る演奏を残してきました。

 セシルはヨーロッパでは高く評価され、80年代以降はエンヤFMP などヨーロッパのレーベルにたくさんのレコーディングを行っています。
この作品は、イタリアの意欲的なミュージシャンの集合体であるインスタビレ・オーケストラと、2000年9月に南イタリアのルヴォという街で開かれたジャズ・フェスに出演した時のライブ録音です。

 この時、セシルは自筆のグラフィック・スコア(A3大の紙片)を持参し、リハーサルを重ねて60分以上の大曲に仕上げました。

 ブラスの音のクラスターに対し、セシルピアノはエッジのきいた音が際立ち、さまざまな楽器のコレクティブ・インプロビゼーションは押しては返す音の波のように腹に響いてきます。
私はセシル・テイラーの大ファンで、彼のレコードとCDは15枚程度持っています。
セシルはすでに70代半ばですが、いつまでもクリエイティブな活動を続けてほしいものです。

2008年1月16日水曜日

「ローリング・ストーンズ/ビデオ・クリップ」



 DVDのワゴンセールで購入したR・ストーンズのビデオクリップ集。1964年のデビュー早々から、1983年までの17曲が納められている作品集です。廉価版のためか、音質はイマイチ。
1970年代初期は、ビートルズが解散した直後だったので、R・ストーンズの新譜がいつも待ち遠しかったことを覚えています。少ないお小遣いを貯めて買ったものでした。だから、当時の曲が懐かしく、こうした寄せ集めの映像集もつい買ってしまうのです。

“2000光年の彼方に”“この世界に愛を(We Love You)” など、R・ストーンズが方向を見失っていた当時の曲も収録されていて、ある意味で貴重な映像集です。“この世界に愛を” は、明らかにビートルズの“ストロベリー・フィールズ~” に影響された曲であり、映像にもその影響を感じます。

 でもね、おじさん世代の私にとっては嬉しい発見で、この2曲だけのためであっても購入した甲斐があったと思っています。
ほかには“ジャンピング・ジャック~”“ホンキー・トンク~” などのライブ演奏が収められ、“アンダー・カバー” のビデオクリップも見ることができます。

2008年1月15日火曜日

「ジミー・スミス/ザ・サーモン」


 スィング・ジャズ の時代から伴奏楽器として日陰の存在だったオルガンを、メイン楽器に押し上げたという点で、ジミー・スミスの貢献は歴史に刻まれるものと言っていいでしょう。
私は、ブルースゴスペル の雰囲気が漂うハモンド・オルガンの音色にあこがれて、ジミー・スミスのレコード(古いなあ)を毎日のように聞いていた時代もありました。

 ジミー・スミスは若い頃からブルーノート・レーベル の看板スターとなって、数え切れないほどのアルバムを残しています。しかし、残念ながら2005年に76歳で亡くなりました。

 表題のアルバムは廉価版で、オリジナルアルバムからの抜粋集だと思います。6曲収録されていて、中でも“ジョニーが凱旋する時” が渋いです。

 ジミー・スミスは何度か来日していますが、残念ながら彼のコンサートに行く機会はありませんでした。一度でいいから、あのスィング感に、あのブルージーな世界に、生で触れたかったなあ。

2008年1月14日月曜日

「ブレードランナー/映画サントラ」


 「ブレードランナー」は80年代を代表するカルトSF映画の傑作です。いわゆるアンチ・ユートピア を描いた近未来SF映画で、一部のファンの熱狂的な支持に支えられ、いつの間にか伝説の映画となりました。
昨年(2007)暮れには、数種類の編集バージョンをセットにしたコンプリートDVD(限定生産)も発売されています。

 音楽は、電子音楽を得意とするギリシャのヴァンゲリス。エンディング・テーマはとりわけ美しく、日本では車のコマーシャルに使われたこともありました。

 当初、この映画のサントラ盤は、曲数が少ないために発売が見送られましたが、熱狂的なファンに後押しされて発売されました。実は、私も首を長くして発売を待っていた一人です。
このアルバムを聞いていると、主人公のデッカード(ハリソン・フォード)の暗い表情がよみがえってきます。

 私の別のブログで、この映画について一度語ってみたいと思っています。

2008年1月12日土曜日

「ビートルズ/LOVE」


 解散して30年以上になるのに、ビートルズはいまだに新譜が発売されるまさに怪物のようなグループです。
このアルバムは、過去の曲を再編集して昨年発売されました。ビートルズの珠玉のヒット曲に、最新の編集技術で大胆なメスが入れられ、別の曲とマージされて思わぬ効果が生まれています。

 ビートルズ世代の私は、すべての曲を頭にインプットしていますから、聞くだけで幸せになります。

 音質も極上。5.1ch盤のDVDがセットになったものもありますが、私はCDで聞いております。去年発売されたCDですが、もう何回聞いたでしょうか。

2008年1月9日水曜日

「魔法使いの弟子」


 デュカスの「魔法使いの弟子」。2007年6月13日、ウラディミール・アシュケナージの指揮で、東京で行われたコンサートをビデオ録画で鑑賞。

 中学1年の時に、学校の映画観賞会でディズニーの「ファンタジア」を見ました。その中でこの曲を聞き、アニメに音楽をつけたのではなく、音楽に合わせてアニメが作られていることに気づいて、とても驚いたことを覚えています。
それまで、アニメや映画で、音楽に意識を集中したことはありませんでしたが、このときから私の意識は変わりました。

 “ほうき” のテーマはファゴット(バスーン)が奏でます。魔法が解けず、水が溜まっていくさまを、トランペットなど管楽器が音を重ねて表現されていきます。「ファンタジア」を見た人は、ミッキーが困り果てている表情や、水があふれているようすをきっと思い浮かべるでしょう。
 子供にもわかりやすいドラマチックな曲ですね。

 ウラディミール・アシュケナージはピアニストでもありますが、今はコンダクターとしての活躍が多いようです。私はピアノより指揮者としてのアシュケナージが好きです。

 

2008年1月8日火曜日

「ブラインド・フェイス」


 Blind Faith。盲目の信仰という意味でしょうか。これは、グループ名であり、アルバム名でもあります。
 ギターの神様エリック・クラプトンが、クリームの解散後、キーボードのスティーブ・ウィンウッド、ドラムのジンジャー・ベイカーらと結成したグループの最初で最後のアルバム。クラプトンは、この後、デレク&ドミノスに加わり、有名な“レイラ” を録音します。

 ブラインド・フェイスは、アドリブを前面に押し出すハードロック全盛時代に結成された、知る人ぞ知る伝説のグループ。しかし、間もなくロックは大衆化していきました。

 このグループの次のアルバムが期待されましたが、クラプトンウィンウッドの音楽性が異なったため、公式な録音はこの1枚だけになってしまいました。(後にオムニバス盤でヨーロッパでのライブと、LDが発売された)

 ツェッペリンレインボーの陰になってはいますが、ブラインド・フェイスはコンセプトを持ったすぐれたグループでした。
中でも“ハド・トゥ・クライ・トゥデイ”“アイ・キャント・ファインド・マイ・ウェイ・ホーム” の2曲は格別です。

2008年1月7日月曜日

「リターン・トゥ・フォーエバー」


 チック・コリアが70年代初頭に結成したユニット“リターン・トゥ・フォーエバー”の1stアルバム。

 60年代のフリー・ジャズからファンが乖離し始め、コリア自身ももっとシンプルでわかりやすいサウンドを追求し、このアルバムが完成しました。
当時は、一方ではマイルス・デイビスを核にフュージョン・ジャズが台頭し始め、ジャズは新しいコンセプトを模索していた時代です。
リターン・トゥ・フォーエバー”はその後サウンドを変えていきますが、この1stアルバムを登場させたことには歴史的意義があると思います。

 このユニットは73年1月に来日公演を行いました。当初はサックス奏者がヤン・ガルバレックと発表されていましたが、結局サックスにはジョー・ファレル が加わり、オリジナルメンバーで来日しています。

 この時、2ndアルバムはすでにレコーディングを終えていて、来日公演ではその中からも何曲か演奏され、あまりに演奏が美しかったので思わず落涙したことを覚えています。
ところで、この1stアルバムの中では“ラ・フィエスタ”という最後の曲が秀逸です。

2008年1月4日金曜日

「ローリング・ストーンズ/ゼア・サタニック・マジェスティーズ・リクエスト」


 謎の死を遂げた旧リーダーだったブライアン・ジョーンズが全曲参加した最後のアルバム。発表当時は、ビートルズのものまね だとさんざんな批判を浴びました。

 ビートルズの「サージェント・ペパーズ」が、アルバムをショーに見立てて作り上げたのに対し、ストーンズのこのアルバムは魔王の宴会に見立てた作りになっています。いわゆるコンセプトアルバムというものが、この頃のビートルズストーンズによって確立されたのです。
そうした意味では、たとえビートルズの二番煎じでも意味のあることだと思うのです。

 前述のブライアン・ジョーンズは、この後、「ベガーズ・バンケット」というアルバムに参加した後にストーンズを脱退します。そして中近東の民族音楽に傾倒していきますが、しばらくして亡くなってしまいます。
彼が民俗音楽に傾倒していくヒントが、このアルバムの随所に散りばめられています。チベット仏教の影響を受けたゴンパーという曲はその最たるものです。

 ところで、この中にはヒット曲シーズ・ア・レインボーも収められていて、そのサウンドの美しいこと! このアルバムの白眉といっていいでしょう。

2008年1月3日木曜日

「YMO/BGM」


 YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)は、今や伝説のグループになってしまったけど、昨年(2007)はビールか何かのコマーシャルで3人(坂本龍一・細野晴臣・高橋幸宏)そろって“ライディーン” を聞かせてくれました。

 「BGM」というアルバム・タイトルは、それまでのYMOのレパートリーが「BGMにいいね」という評価が高まっていったため、メロディーが曖昧でノイズの入ったような、BGMになりにくい曲を入れてBGMというタイトルにしたという、シニカルな、少し意地悪な作為によるものだったようです。

 しかし、その後のテクノ・ミュージックは、世界的にYMO的な流れ(現代音楽風イメージ)になって行きます。

 録音は1981年。私にとっては、このアルバムも今やクラシック。5曲目の“千のナイフ” は、坂本龍一がYMO結成前から何度もレコーディングしてきた彼のオリジナル。このアルバムの編曲は最高にカッコよく、何度聞いても聞き飽きません。名曲(名演)ですよ、これは。

2008年1月2日水曜日

「マイルス・デイビス/イン・ア・サイレントウェイ」


 あけましておめでとうございます。
ザイラスです。2008年が皆様にとって良い年となりますようお祈りしています。

 さて、正月から多くのミュージックを耳にしていますが、今日は表題のアルバムを聴きました。前回ご紹介のチック・コリアのほか、ウェイン・ショーターハービー・ハンコックジョン・マクラフリンなど今ではキラ星のごとくメンバーが参加したアルバムです。

 1969年の録音です。マイルス・デイビスはこの頃から自然発生的な演奏を行うようになりました。このアルバムは、スタジオに集まったミュージシャンが気の向くままに演奏したテープを、後にマイルス自身が編集して一枚のアルバムにまとめたものです。

 いわゆる電化サウンドを大胆に取り入れた、当時としては実験作に近い作品ではなかったかと思うけど、今聞くと実に心地よく、耳に響いてきます。
ポップス・ファンやロック・ファンにもお勧めしたいアルバムです。ポップス・ファンがジャズを聞き始めるのに最適な一枚かもしれません。

 マイルス変貌 を続けたミュージシャンです。ジャズ界を半世紀にわたってリードした帝王です。どの時代のマイルスも傾聴に値します。