2008年3月31日月曜日

「LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA/ラブ・サイケデリコ」



 ラブ・サイケデリコの2ndアルバム。彼らが登場したのは2000年。初めて彼らの曲を聞いた時には、アメリカのグループが日本語を交えて歌っていると思いました。

 リードボーカルのKUMIが帰国子女であると知ってなるほどとは思いましたが、にわかには信じられなかった。サウンドもかなりバタ臭く、ブルースC&Wのニオイもある。
でもね、かつて「オルケスタ・デ・ラ・ルス」なんてインターナショナルな活躍をした日本のサルサ・グループもあったし。驚くことはないと、後で思いましたけどね。

 Jポップでは私の数少ないお気に入りのグループですが、CDはこれ1枚しか持っておりません。

2008年3月27日木曜日

「スイング・ギター/ウエス・モンゴメリー」


 ウエス・モンゴメリーは1950~60年代に活躍したジャズ・ギタリストで、天才的なスイング感とアドリブセンスを備えたスーパースターでした。リバーサイド、ヴァーヴ、CTIなどにたくさんのレコーディングを残しました。

 彼の特色はギターを歌わせるリズム感と、独自のオクターブ奏法
アドリブは通常単音で奏でていきますが、ウエスはオクターブ離れた2音を同時に鳴らして柔らかな響きを奏でました。
オクターブ奏法はアクセントで用いることならスイングジャズの時代から行われてきましたが、ウエスは16分音符が並ぶような早いフレーズをオクターブ奏法で弾き続けたのです。

 彼はオーケストラとも数多く共演してきましたが、譜面は読めなかったとか。そのためスタジオ・ミュージシャンの経験はないようです。

 このアルバムは日本で編集されたベスト盤ですが、そうだからこそ彼のセンスが生かされた曲をたくさん聞くことができます。中でも1曲目の“エアジン” が最高。廉価版だからもう廃盤になっているかもしれません。

2008年3月22日土曜日

「ミュージック・フォア・サイレント・ムーヴィーズ/上野耕路」


 ゲルニカつながりで、ゲルニカのリーダーである上野耕路のアルバムを紹介します。
タイトルの通り6本のショートフィルムに上野耕路が曲をつけ、その曲だけをCDで発表したものです。
ショートフィルムは、画家のマルセル・デュシャン、シュルレアリストのマン・レイなどが監督した作品で、これはぜひ見てみたい。
このCDを聞きながらイメージするしかありませんが、かなり先鋭的な作品であることは想像できます。

 音楽は弦楽を交えたピアノサックスシンセなどで構成されたコンボで、現代音楽風でありながらも、きちんと譜面に書かれた曲であると思います。
聞いていて癒されるようなものではなく、何かを必死に訴えようとするエキセントリックなものが多いようです。

 たぶん、このアルバムはすでに廃盤になっている可能性が高い。中古ショップを回ってもなかなか見つからないかもしれません。

2008年3月18日火曜日

「ゲルニカ:リライティング・ヒストリー 1982-1989」(DVD)




 ゲルニカは1982年にアルバム「改造への躍動」をリリースして登場。リーダーの上野耕路(作曲・ピアノ)、太田蛍一(美術・作詞)、戸川純(ボーカル)を中心にした日本の音楽史上まれに見る特異な作品を発表したグループです。ダダ、シュールレアリスム、戦前アバンギャルドをミックスしたようなサウンドと歌は、熱狂的なファンに支えられました。

 アルバムはその後「新世紀への運河」「電離層からの眼差し」の2枚が発表され、さらに3枚組のライブ盤も出ましたが、それらはいずれも廃盤となってしまいました。(ただし、今年(2008)3月に1stアルバム「改造への躍動」が再リリースされました)

 このDVDにはゲルニカのコンサートと、上野耕路の作品とパフォーマンスなどの貴重な映像が収められ、時代を超えて鑑賞に値する優れた記録となっています。
ぜひ、このプロジェクトを復活させてほしいものです。

 それにしても、上野耕路の才能とセンスには脱帽です。こんなスゴイ音楽を日本で聴ける幸せを喜びたいと思います。

2008年3月15日土曜日

「Globe Unity Special '75/Rumbling」





 グローブ・ユニティ・オーケストラは、1970年代初頭に結成されたヨーロッパのフリージャズ・オーケストラです。
当時頭角を現し始めていたアルバート・マンゲルスドルフ(tb)、ケニー・ホウィーラー(tp)、スティーヴ・レイシー(ss)、アレックス・シュリッペンバッハ(p)をはじめとする8~10人編成の小オーケストラです。出身国はドイツ、イタリア、フランスなどさまざま。

 このアルバムは1975年にベルリンで録音されました。実は、1970年の大阪万国博にベルリン・ジャズ・オールスターズというフリージャズ系の楽団が来日しましたが、そのメンバーともダブっています。

 ここには5曲収録され、22分にも及ぶ大曲もありますが、実はそのほとんどが全員によるコレクティブ・インプロビゼーション(集団即興演奏) で、無秩序と秩序が入り混じった混沌とした音楽です。

 聞きごたえは充分。音とリズムの異次元空間が広がります。

2008年3月8日土曜日

「the best of DON PULLEN」


 1970年代に登場したフリージャズ系のピアニスト:ドン・ピューレン。彼がブルーノートに残した1986~1995の録音から9曲をピックアップしたベストアルバムです。

 登場時のようなパーカッシブな奏法を残しつつも、オーソドックスな4ビートジャズスタイルを表に打ち出した演奏に変化した後の作品が中心。お得意のピアノソロ、ピアノトリオ、サックスを交えたコンボ演奏などさまざまなスタイルを堪能できます。
ピアノソロになると、ところどころに無調のアドリブが入り、聞いているものをニヤリとさせてくれます。

 円熟の境地に至った、安心して聞いていられる演奏ではありますが、登場時のようなエネルギッシュで挑戦的な演奏をもう一度聞きたいものだと思います。