2008年4月23日水曜日

「ミステリアス・トラベラー/ウェザー・リポート」



 ウェザー・リポートの通算5枚目のアルバム。といっても、今から30年以上も前の1974年の作品。

 ウェザー・リポートは1971年にジョー・ザヴィヌルウェイン・ショーターミロスラフ・ヴィトウスを核としてスタートしたグループですが、この頃からJ・ザヴィヌルとW・ショーターのカラーが強くなり、M・ヴィトウスはこのアルバムでは1曲しか参加していません。
この後、ベーシストに新たにジャコ・パストリアスが加わってサウンドが変わっていきます。

 このアルバムはその過渡期にあたる作品。

 ウェザー・リポートといえば、「ヘビー・ウェザー」や「ブラック・マーケット」などのアルバムが有名ですが、私はこのアルバムが一番好きです。

 今日聞いたのはCDですが、LPでは何十回も聞きました。

2008年4月7日月曜日

「Return to Nauvoo/Fiddlesticks」



 「フィドルスティックス」は、家族で結成されているアメリカの民俗音楽グループ。メンバーは、父親のアンディ・デイビスと彼の息子・娘たち。
楽器編成は、フィドル(バイオリン)、ギター、フルート、チェロ、民族楽器など。

 アメリカではCDがたくさん発売されていますが、日本では「知る人ぞ知る」といった程度でしかありません。
 ケルティック・ウーマンやエンヤなどで知られるようになったケルト音楽をベースに、ヨーロッパで伝承されてきたトラディショナルな音楽の再現を中心としています。

 このアルバムでは讃美歌、バグパイプの演奏で有名な“スコットランド・ザ・ブレイブ ”、“アメイジング・グレイス ”なども収録され、フィドルを中心とした演奏と歌を聴くことができます。

 この家族はモルモン教徒(末日聖徒イエス・キリスト教会)であることでも知られ、神やイエス・キリストをたたえる歌が多く含まれています。
長女の透きとおった歌声に心が洗われるようです。

2008年4月5日土曜日

「アセンション/ジョン・コルトレーン」



 ジョン・コルトレーンが、自分のバンドを離れて、レコーディングのために集めたメンバー(合計11人)で録音した数少ないアルバムの1枚。録音は1965年、死の2年前です。
ビートの細分化を追求してきたコルトレーンが、オーネット・コールマン「フリー・ジャズ」を聞いて、自分も複数の管楽器によるコレクティブ・インプロビゼーションをやってみたくなって生まれた作品だといわれています。

 当時はフリージャズ全盛の時代で、コルトレーンがフリージャズに足を踏み入れるのは時間の問題でした。
 しかし、このアルバムについて、彼の精神的な師匠であったラビ・シャンカールからは厳しい評価と叱責を受けたといわれています。

 多くの評論家からも、オーネット・コールマンの二番煎じだとか、ダーティな作品だと酷評を受けました。日本では賛否両論に分かれました。
 私は好きですけどね。コルトレーンが音楽の方向性について悩んでいたことも伝わってくるようです。
このアルバムは、後のヨーロッパの前衛ジャズに大きな影響を与えています。

 演奏は2つのテイクがあり、かつてはコルトレーンの指示でテイク2のみがレコードになっていましたが、日本でCD化されたときに、両テイクが入れられました。
両方とも30分を超える演奏ですが、参加メンバーのパワーを感じます。
ただ、フレディー・ハバード(tp)は少し浮いているように感じます。

2008年4月3日木曜日

“ツィゴイネルワイゼン/高島ちさ子”











 “ツィゴイネルワイゼン”は、スペイン生まれのヴァイオリニスト・サラサーテが1878年に作ったバイオリン曲。高島ちさ子の「クラシカル・セレクション」というアルバムでは、ピアノ伴奏のみで弾いています。

 サラサーテは、ハンガリー民謡ジプシー音楽の旋律・手法を取り入れて作曲しており、たいへん劇的な曲風で、多くのバイオリニストが必ずと言っていいほどレパートリーにしています。

 高度な技巧を要する曲のため、発表された当初は作曲したサラサーテしか弾けなかったとか。

 バイオリニストで作曲家だったパガニーニも技巧をこらす曲を数多く作曲し、他人に奏法を教えなかったというエピソードがあります。かつての音楽家はオリジナリティを競っていたのだなと思います。

 高島ちさ子さんは素晴らしい演奏を聞かせてくれています。